第6章 キスの味
――まさかこんな事になるなんてな。
永久に交わらないと思っていた平行線がこんな形で交わってエンディングを迎えるなんてさすがの俺も全く予想出来なかった。
星漿体の護衛と抹消。夜蛾に命じられて傑と一緒に向かった任務だ。そのゴールはすぐ目前だった。
俺と傑は、沖縄で護衛するという予定外の事態は発生したものの、星漿体である天内を呪詛師や宗教団体から無事守り、3日間のその任務を全うするところだった。
無下限解かず、寝てねぇ体で、ギリギリだったけど、天内を高専の結界内まで連れてきた時点で終わったと思った。
夕凪はどうせいつもの癖で俺のこと心配してんだろうと思ったから、沖縄で元気に遊んで……じゃなくて任務遂行してる写メを携帯に送ってやった。
お土産にはちんすこうを買ってある。高専着いて天内を見送ったら持って行ってやるか、くらいに思ってた。
けど、こんな奴がいたとはな。昔、一度この黒い感覚を気取ったような、会ったことがあるような気がしたが、胸を刺されるまでそいつが近付いている事に全く気付かなかった。
夕凪サンキュな。オマエが俺の制服に練り込んでた呪力が、お守りがあいつの奇襲をほんの0コンマ数秒だけど食い止めてる間に、内臓避けれたわ。
けど、まぁ、そいつは異質な奴で、動きがまるで読めねぇ呪力が全くない天与呪縛のフィジカルギフテッドで。特殊な呪具で術式強制解除されて喉元ブチ抜かれてグッサグサに刺されて俺は死にかけた。