第6章 キスの味
「なんで倒れたの?」って夕凪が聞く。またごちゃごちゃ気にするだろうから言いたくなかったんだけど、俺の生き方を隠す理由もないし、18の誕生日までに、最低でも赫は使えるようになりたいから脳が限界に達するまで無下限使ってみたって説明した。
案の定、夕凪は申し訳なさそうなツラしてた。そして急に俺を寝かせたくなったようだ。
「悟くんもう休んで。少し横になりなよ」
眠る気なんてない俺を無理やりベッドの上に座らせて布団被せてきやがった。頭から被せたら息苦しいだろうが。
歯磨きやら着替えも命じられて、まるでガキみてぇな扱い。実は昼間、結構眠ったからあまり眠くないんだよね。加えてショートスリーパーだし、21時なんてこれから俺が活動するといっても過言じゃない時間帯なんだけど……。
「別に眠くねーし」
「奥様から頂いたあの漢方の中には少し眠くなる成分も含まれてるから目を閉じてたら眠くなるよ。寝るまで見てる」
「悪趣味だな」
「つべこべいわずに寝て!」
若干キレてるみたいだから、仕方なく横になる。布団かけられて部屋の照明を落とされた。気にせずに寝ろっていうけど、寝るまで見てるって言われて寝れるかよ。
しかも好きな女に……。
夕凪の事、諦めて、もう離すかなんて思ったけど、そんなのやっぱり出来そうにねぇ。さっきうどん食いながら夕凪が好きだとあらためて思った。