第5章 いざ高専へ
硝子と傑が教室で、ひそひそ耳打ちしてた俺の振られ話を思い出す。別に振られたわけじゃねーからな。
夕凪がどういうわけかハッキリ本音を言わないだけだ。俺と付き合うことに、俺を好きだと言葉にすることにここまで抵抗する理由はなんなんだ?
夕凪は、最近、明らかに変わった。
中学の時はあんなに俺に笑顔を向けなかった夕凪が今はほんとによく笑う。俺がずっと見たかった顔だ。
たとえしかめっつらでも無表情でも俺にとっては宝物だと気付かされて、それからはどんな夕凪でも愛おしいと思っていたけど、顔全体からこぼれ出るような夕凪の笑顔ほど可愛いものはない。
俺は会いたい時に会いたいって言いたいし、夕凪を誰にも触れさせたくないし、手も繋ぎたいしキスもしたい。
それ以上のことだってしたくなる。あの惑わすような服の肩紐をほどいたら、どんな顔すんだろな。
彼女として隣に立たせたいし、逆ナンされても彼女いるからって夕凪の事を抱き寄せたい。夕凪も彼女ですって顔して俺の横で女達に牽制かければいい。
無垢そうなその心も体も全部俺の色に染めたいし、夕凪も俺を彼氏だと自慢して頼ってほしいって思う。
ヤキモチの解消はスイーツの甘みじゃなく俺に甘える事で満たせよって思う。
こんな風に何もかも欲して要求したくなるのは傑が言うようにオマエがなかなか陥落しないラスボスみたいな女だからなのか?