第5章 いざ高専へ
「尊とはうまくいってるのかい?」
「あ? まぁ、あんなもんでしょ」
「ふられる心配は余計だったみたいだな。付き合ってるんだろ?」
「あぁ」
「えええ! 尊と五条さんって付き合ってるんですか?」
いきなり1年が大きな声を出して隣に座ってきた。灰原だ。傑になついていて確か夕凪とも仲がいい。
「自分全然気づかなかったです。五条さんと付き合ってたなんて! 尊に彼氏いるの? って聞いてもいないって言ってたから」
「あ゛? それいつだよ」
「つい最近ですよ。5日ほど前」
俺とのことは隠してるのか?
「照れ隠しだろ」
「でも好きな人はいないの? って聞いたら、いるにはいるけど一生付き合えないかもって」
「……」
灰原と夕凪は親友同盟を結んだらしい。助け合い高め合い本心をぶつけ合う協定が成立してるんだと。
「夕凪は何言ってんだ」
「悟を悩ますとは尊もなかなかだね。落城しないあたりが男心をくすぐるじゃないか」
「そんなの別に求めてねーし、俺は別に悩んでねーよ。あいつどう見たって俺のこと好きでしょ?」
「五条さん、ちゃんと告白したんですか? さっきの、あの京都弁の、ああいう推しが強そうな奴に取られちゃう前に尊、おさえてください! 自分は応援してます」
「なんで俺がオマエに励まされてんの」
そう言いながらも、確かに肝心な事は何も言ってなかったかと振り返る。
夕凪が嫌がるだろうからとこれまでの関係を崩さないようにしてきた。けどそれが壊れるのが怖いのは俺も同じで、曖昧にしてきたような気もする。