第5章 いざ高専へ
ちょっと煽ったら血が昇るような奴だ。そのくせ狡猾ときやがる。禪院家は術式大好きだから、夕凪みたいな女を囲いたいんだろうな。次期の当主は誰か他のやつを推したいところだ。
「ありがとうございます、五条先輩」
「おぉ……」
夕凪がしおらしく感謝してきた。あまり今までこういう時に素直に言って来たことがなくて正直驚く。
五条先輩とかその言い方が可愛くて抱きしめたくなる。抱きしめてもいいんだけど、こいつらの視線がな……硝子、歌姫、冥さんが「夕凪のこと溺愛?」って目で俺のこと見てる。
女たちがあのメール回してたのか? 視線がうざくなって俺は傑と一緒に焼肉店を出た。
◇
カラオケは男女別に別れるってことで、あの溺愛視線からも逃れられて一息つく。1年に曲入れさせて適当に歌わせることにした。
焼肉ではふざけた話ばっかしてたけど、傑が隣に来たし、最近多発してる呪霊の話や、術式反転赫がもう少しなんだよなって話をする。
夕凪の術式についても傑にどんなもんか聞いてみる。夕凪を死なせるわけにいかねーから時々術式をみてやってるが、傑の助言があればさらに気づきがあるだろう。
「大事にしてるんだな、私もそんな女性と出会いたいもんだ」
「茶化してんのか、弱ぇーからみてやってるだけだよ。オマエは出会ってねーの? 今付き合ってる女はなんなの?」
傑が笑う。出会いなんて真剣に考えたところでどうにかなるもんでもない。そう考えたら夕凪に会えたことは俺にとって幸運だったのかもしれない。