第5章 いざ高専へ
ジュー ジュワー
肉が焼ける音と共に炭の香りも漂う。毎年恒例の新入生歓迎会だ。今年は焼肉って事で、もちろん俺も同期と参加。
同席テーブルのメンツ見たら全員、焼肉好きな奴ばっかだ。次々と注文していく。俺は特上しか食わねーけど。
「五条! それは私の肉なんだよ! 特上カルビじゃなく、カルビを食え! 先輩を敬えぇー!!」
歌姫のヒスが飛ぶ合間にまた一枚肉を網から取る。
「先輩とか関係ないでしょ、それが呪術界ってもん」
「あんたね、いつか痛い目にあうから」
「はいはい」
歌姫はそう言いながらもカルビ食ってる。俺は食わねーから役割分担として成り立ってんじゃん。歌姫、安い肉よろしくー。この店シャトーブリアンとかねーのかな?
肉に夢中になってて夕凪の事を忘れてた。1年の灰原が俺らのテーブルに来たからふと夕凪が座ってる1年のテーブルを見ると、とんでもねぇ事になってる。
油断も隙もねーやつだな、全く。
「高専来たなんてびっくりやわ。てっきり悟くんに食われて、そのまま妾になって五条のお家に囲われてるもんやと思てた」
禪院家の直哉が夕凪に絡んでやがる。こいつは小さい頃から五条家にくるとは夕凪にちょっかい出してた。
「オイ、てめぇは五条家に喧嘩売ってんのか?」
「あ? 喧嘩?売ってへん、売ってへん、なぎちゃん、いい女やもん。こんな可愛いお手手、値段なんかつけられへんわ」
「っざけんな。屋敷に4人も5人も女待たせてんだろ?早く帰ってやれば?」
「女は何人おってもえぇもんやで。悟くんかて知ってるやろ?」
こいつ、噂に聞いてはいたけど死ぬまで治らねえタイプの女たらしだ。歪んだ愛の呪霊てめぇひとりでどんだけ発生させてんだ。
「はっ、夕凪の術式しか興味ねぇくせに。それとも何か? うぶな女じゃねーと相手にされねぇとか?」
「なんやて!」
「まぁまぁ2人とも落ち着こう。1年生が怖がってしまうじゃないか」
傑が間に入って、術式を使って直哉を外に出した。俺も穏便に済ませようと思ったけど、アイツが今にもかかってきそうだったからな。