第5章 いざ高専へ
「いいよ、尊、気にしないで続けて」
灰原が固唾を呑んであたしの様子を見てる。なに? なに? なになに???
思わず肩に力が入った。灰原とは目が合ったままだ。でも、悟くんに返事しなきゃ。えっと、えっと、悟くんの方に目を向ける。
「す……こし、考えさせて」
言った瞬間、灰原がなんで!? ってガッカリな顔をする。
悟くんを見ると怖い顔で灰原を睨んでる!
「てめぇ殺されてーの?」
「すみません!!! まさか自分、こんな話してると思わなくて。尊の忘れ物があったから、これ」
「あ、ハンカチ、ありがと灰原」
悟くんの、とばっちりがあたしに来た。
「なにお礼言ってんの。オマエさぁ、好きって言いかけたよな? 考えさせてって何? 俺が好きなんだから当然オマエだって俺の事好きだろ」
「なにその理屈。それは悟くんがこれまで遊んで来た女の子のことでしょ? あたしに当てはめないで」
はぁぁ、最悪だ。
悟くんはすっごい不機嫌になってぐんぐん前に歩いていった。七海に何か声をかけられたみたい。あんなピリピリした状態の悟くんに声かけた七海ってすごいかも。