第5章 いざ高専へ
こんな大通りの騒がしい道を歩きながら、周りに知ってる人だらけの中で好きなんて言ってくると思ってなかった。
やっぱり悟くんは告白されてる経験が違う。静かな場所でふたりっきりで向かい合って「す、す、すきです」しか妄想した事なかったあたしのテンパり具合が半端ない。
脳をフル回転させる。つまり、悟くんのテスト回答を整理するとこうだ。
問1)付き合ってる?
YES
問2)両思い?
YES
問3)彼女のこと好き?
YES
問4)付き合いたい?
YESっていうか付き合ってるじゃん
オールYESじゃないか! もだもだしてたあたしの回答と大違い!
歩きながら会話は続く。
「夕凪は俺のこと、どう思ってんの?」
「え? あ、うん」
言葉がしどろもどろになる。好きっていうべきだよね。だって悟くんのこと好きなんだから。両思いなんだから、好きって返事して彼女と彼氏の関係になるのが普通だ。
いいのかな? ちょっと怖い。一度好きって言ったらこれまでの関係には戻れない。でもそれは悟くんにとっても同じことだ。平然と話してるけど、勇気出してるよね?
あたしはその勇気と質問に応えようと悟くんを見上げた。
「す……」
「き」って言おうと、左隣にいる悟くんの方を向いた時だ。あたしの左目に見覚えのあるまんまる目玉が入ってきた。
すぐ近くに! すぐ横に!