第5章 いざ高専へ
「私は五条はともかく尊を応援してるから。五条にもっとわがまま言え言え」
「五条にはほんともったいない。あのバカに嫌がらせされたら京都に来なよ。尊大歓迎」
「五条悟と別れる時はしっかり慰謝料もらうんだよ、尊。ふふ、少し分けてくれたらいつでも力貸すよ」
三者三様に言葉をかけられて思わず下を向く。
「あれ? どうした? 泣いてる? いじめてないよね?」
家入先輩に尋ねられて、下に向けた顔をますます上げれなくなってしまった。あたしは、ほんのり涙が滲み出てきてしまっていた。
先輩達は軽い気持ちで言ったんだろうけど、あたしにとっては感動的な事で……。
表現はそれぞれに異なるけど、あたしの事を、あたしと悟くんとの事をそんな風に肯定してくれたのは高専の女先輩達が初めてだ。
これまで、女先輩と言えば、悟くんに近付くなとか、まさか好きじゃないよね、とか、邪魔、とか離れてとか、あたしはいつも煙たがられて、目の上のたんこぶみたいに思われてたから。
「ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いします」
過去の話はしなかったけどこの言葉に全ての想いを乗せてあたしは先輩達にお礼を伝えた。
「感動的なところ申し訳ないけど、君ら二人はさっさと出すもん出してもらおうか」
「冥さん、覚えてたんですね……」
「忘れるわけないだろ、それで私は憂憂におみやげ買って帰るんだから」
はぁーって残念そうな顔して家入先輩と庵先輩は、お財布から数枚お札を冥冥さんに渡していた。「ひとりがち! 尊よくやった」って冥冥さんは喜んでる。
あれですか? あたしの恋心をひょっとして賭博の材料にしてました? やっぱり呪術師は変わった人ばっかりー!!