第5章 いざ高専へ
「ハハ、そんなビビんなくていいよ。誰もあんなクズ興味ないから!」
「あの、家入先輩、ひとつ聞いてもいいですか?」
「なに?」
「あたしってそんなに五条先輩のこと好きなように見えますか?」
「見えないよ。だから聞いてんだけどね」
「あたし、しょっちゅう同じこと聞かれるんです」
「それは五条のせいだろ。あいつがわかりやすいから周りが尊に嫉妬すんじゃない?」
悟くんがわかりやすいというのは、正直あたしにはよくわからない。
「でも私らのこれは嫉妬じゃないから! 五条とかありえねー。ねぇ、歌姫先輩♪」
「あるわけない! あいつは私のストレスなんだよ! 尊、頼む。なんか五条の弱点教えて。あのバカ、私に全く敬語使わないんだよ」
「おやおや、2人とも待ちな、私は五条君のこと好きだよ」
「冥さん、それは、五条じゃなく、五条の持ってるお金が、ですよね?」
「ふふっ」
冥冥さんがお金に目を輝かせてる。すごい会話だ。中学時代の悟くんのファンが聞いたらどう思うだろう。
悟くんがコケにされてる。クズだとかバカだとかお金扱いされてる!
「あはは!」
思わず声を出して笑ってしまった。先輩達の口から次々出てくる五条悟の最低話にあたしは、圧倒されながらところどころ相槌を打った。
話が途切れたところで冥冥さんと目が合う。