第5章 いざ高専へ
思いっきり大声を出してしまった。とても最後まで2人の会話を聞いていられない。
なんで初対面からいきなりパンツの話になってんの? あたしの顔は多分、耳まで真っ赤っかだ。声を荒げたことで息まで乱れてる。はあはあ。
悟くんも先輩たちもきょとんとした顔であたしを見てる。そんなに爆裂してた? 恥ずかしすぎる。
「イテ、いてーよ」
悟くんは、夜蛾先生に耳を引っ張られて教室の外に連れ出された。そもそも悟くんに自己紹介なんか必要ない。最初からこうしてもらえばよかった。
「もいっかい、やり直そっか」
女の先輩の声かけで、仕切り直しとなった。
先輩たちの名前は――家入先輩と夏油先輩。
ふたりの名前は悟くんから何度か耳にしていた。悟くんの話だともっと変な人たちなのかと思ってたけど、見た限り優しそうでまともな先輩だ。
あたしはふたりに自己紹介をした。術式のことや、小さい時に五条家に来てそこで育ったこと、悟くんの遊び相手を務めてたことなど。
先輩達は興味津々みたいで、なんていうのか、天然記念物でも見るような感じ。
「五条の近くに10年もいて、よくこれだけまっすぐ育ったな。奇跡だな」
「悟みたいな男が世の中の標準ではないから。安心していいよ、もう大丈夫だから」
あたしは、まるでやばい奴に軟禁されてたような扱いだ。悟くんがこの1年、高専の中でどれだけ無鉄砲をやらかしていたのかが想像出来て思わず笑いが込み上げる。
ふふっ。