第5章 いざ高専へ
【2年の先輩の教室に行きました】
夜蛾先生に呼ばれて、おそるおそーる悟くんたちのいる2年の階に足を運ぶ。悟くん以外の先輩に挨拶するのは初めてだ。
「失礼しまーす」
教室に入ると、夜蛾先生はこっちだとあたしを招き入れて教壇に立たせる。ドッキドキだ。
「次の任務にお前たちと同行してもらうかもしれないから紹介しておく。一年の尊夕凪だ」
夜蛾先生の紹介に合わせてぺこりと頭を下げた。
「あー、悟の」
男の先輩の第一声。柔らかい声色。でもそれより黒いつららみたいな前髪がすごく気になる。
「へぇぇ、こんな感じか」
二の句は女の先輩。目の下のホクロが色っぽくて可愛い。
最後に言葉を発したのは五条家の次期当主。
「夕凪〜パンツ見えてんぞ」
え? うそ!? 嘘でしょ? スカートめくれてる? 悟くんにお昼寝を見られた時の露になってた腿を思い出す。
慌ててお尻周りを手で触って確認したけど、完璧にスカートで覆われている。よく考えたら厚めのストッキング履いてるし見えるわけないじゃん。
くくっ、って悟くんが笑ってる。超恥ずかしいよ。何言ってんの、ガキもガキ、まだまだくそガキじゃん! 先輩たちはそんな悟くんに慣れてるのか至って冷静だ。前髪先輩が、ひとつため息を漏らした。
「悟、そんな風に女の子を辱めるもんじゃないよ」
「フッ、傑が1番見てぇくせに、そういうの好きなくせに何かっこつけてんの?」
「ハハ、わたしはあいにく不自由してないよ、悟と違って」
「あ゛俺だって不自由してねーわっていうか、俺は夕凪のだけでいいし」
「なら直接彼女に言えばいいじゃないか。パンツが見たいって」
「言わなくても見せてくれんだよ、夕凪は。こないだもな――」
「もぉおおおお! いい加減にして! 悟くんだけ出て行って、今すぐ!」