第7章 完成し始めた巣
「日向のポジションをどうするか、考えたいんだ」
澤村の言葉にうーんと影山は思考を巡らす。
『まだあの試合しか見てないので確実とは言い切れませんが、翔陽の長所が1番上手く使えるポジションはミドルブロッカーかと思います。
圧倒的な跳躍力があるのは事実ですが、わかりきったところから打つなら、翔陽の身長を考慮すると少しバネのある高身長の選手が打つのとなんら変わりない。
ただ翔陽は背が小さくて身軽です。それを生かしてブロックを振り切り、あのジャンプ力を使って打てば翔陽は高身長と低身長のいいとこ取りをできるはずです。
そしてそれは皆の目を引く』
「なるほど...」
菅原が頷き、影山もああ、といった後に言葉を続けた。
「つまり日向には囮になって戦ってもらう。そういうことだな」
『そう、相手チームの皆が翔陽に意識を持って行かれたらこっちの勝ちになる』
あの試合だけでよくここまでの戦略が練れるものだ、と、澤村はを見た。
「俺は、月島がどのくらい通用するかも見てみたい」
『はい。私も思います。烏野では大事な高身長戦力ですし
ただ蛍はヒョロイからあまりにボールの力に負けるようなら鬼の体幹トレーニングを次の練習から取り入れますね』
「た、頼もしいな」
と澤村は冷や汗を浮かべながら言った。