第11章 対音駒、ゴミ捨て場の決戦
タイムアウト後も日向はボールを見ながらのスパイクに挑戦するが、なかなか決まらない。
「ああ...また返すので精一杯!
どうすればうまくいくんでしょうね」
日向のプレーを見ていた武田がもどかしそうにそう言った。
「初めてのプレーをすぐできないのなんて当然だ」
そう言った繋心に、は付け加えるように口を開いた。
『でも何事もまずやってみる、から始まるじゃないですか。
ボールを見てみる。速かったら次は少し遅めに跳んでみる。今度はもっと上に跳んでみる。
そうやって、やってみる、から経験を積んで学んでいくしかないんです。でもそれが一番早い方法でもあるから。』
「先生、こいつのプレー見たことあるか?」
繋心が武田にそう尋ねると、武田は金烏さんのですか?と聞き返した。
『...私?』
と、もきょとんとした顔で首を傾げた。
「ああ。こいつ160にも満たない身長だろ?いくら女子バレーの世界と言ったって160に満たない身長は普通は不利だ。
だが、空中戦での右に出るやつはいない。なんでかわかるか?」
「ジャンプ力...とかですかね」
2人の会話をは黙って聞いている。
「もちろんそれもある。でもジャンプ力があるだけじゃ、ただの高身長選手と変わらないんだ。
もあの小さな巨人も、隙間を狙って打つ、わざとブロックに当てて弾き飛ばす、そうやって小柄な自分の戦える道を作ったんだ」
『あはは...繋心くんにこんなにちゃんと褒められることないからなんかくすぐったいな!』
「あ?別にいつも褒めてんだろ!」
『そうだっけ??』
繋心の言葉を聞いた武田は、感心した表情をへと向けた。
「...すごいですね、金烏さん」
『私も、バレー仲間の背がどんどん伸びていくのにいつまでも自分の背は伸びなくて焦ってた時期がありましたよ。
でもその時、一繋さんが言ってくれたんだ
______翼がないから、人は飛び方を探すんだ
って。
だから、そこで諦めずに戦い方を見つけられたの。
それは、翔陽にだってきっと出来る』