第4章 食肉類から猛禽類へ
『そういえばね。報告があってきたの!』
なんだ?と、こちらを見つめる一繋に向かってはカバンからゴソゴソと取り出した一枚の紙を見せる。
『私、烏野高校に合格しました!』
ニカッと一繋が自慢げに何かを話すときの笑顔を真似ては笑う。
「なっ、!烏野高校を受けたのか!」
あまりに大きな声を出すので、通りかかった看護師さんに大声出さないでください〜と注意を受けた。
『うん。あのね、私もうプレーヤーとしてバレーボールと共に生きることはできないけど、教える側としてならまたバレーボールできるかなって思ったの』
怪我のせいでバレーボールができない体になってしまったことは、診察を受けたその日に一繋に報告していた。
は一繋が自分よりも苦しそうな顔で頭を撫でてくれたこと思い出す。
教えるのは楽しいか、とがあの日にまた尋ねたが、まさか今すぐにでもトレーナーとして関わろうとしているとは思わなかったのだろう。
あの日よりかは少し和らいだ表情で一繋は
「それはにとって辛くはないのか」
と聞いた。
『辛くないよ。
プレーヤーができなくなったことが悔しくないかと言われたら、そりゃあもちろん悔しいけど、昔一繋さんが雛鳥たちを羽ばたかせることができることが楽しいって言ってたのを思い出したの。
一繋さんが監督を引退して"落ちた強豪" "飛べないカラス"って呼ばれるようになった烏野高校バレーボール部を
もう一度私が羽ばたかせる』
の強い眼差しを見て、一繋は一瞬目を見開いたが、そうかと一言だけこぼすとの頭をわしゃわしゃと撫でた。