第8章 始まりの始まり
今日もは坂ノ下商店へと向かう。
『繋心くん、お願い!烏野バレー部の監督引き受けてよ!』
「お前も懲りねえな。もう暗くなるから早く帰れ」
ほらよ、とぐんぐんバーをに差し出しながら繋心は答えた。
『繋心くん、
私烏野をもう一度飛び立たせたいの。』
普段のおちゃらけた雰囲気など少しも見せずまっすぐな表情でが言うため、繋心もうっと言葉を詰まらせる。
『私が烏野のトレーナーをしようって決めたきっかけは怪我だった。怪我をしてもうバレーボーラーとして過ごすことはできないって言われて、でも意地でもバレーから離れたくなかったの。だからトレーナーをしてバレーボールと共にいたいと思った。
自己中な理由でしょ。
これは私のエゴだもん。』
久しぶりに本人から聞く怪我の話に繋心は眉を顰めての頭に手をおく。
「でも、」
『でも!はじまりは、きっかけはそんな自分本位な理由だったけど、どの部活よりも遅くまで残って練習して、誰よりも早く起きてバレーのためにトレーニングをする彼らを見てたら、そんな彼らの努力が報われるための手助けをしたいって思った。
そのためには強豪と練習試合をしたり、ベストな戦略を考える必要がある。
トレーナーとは言っても高校1年生の私にはそんな力はとてもない。
繋心くん!私に力を貸してください!!』
バッという音とともに、腰を90°以上曲げては頭を下げる。