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【ツイステ】監督生はプリンセス(長編)

第10章 The Little Mermaid(陸の人魚姫)



黒々とした艶の雫が朝日に光り、

彼女の雪のように白い肌を染めるように流れる。

小さくつぼんだ唇からは、まことに美しい歌声が

なめらかに紡ぎ出されていた。




その姿はまるで






陸にいる人魚姫のようだったー



彼は情けなくも驚きと動揺で

足を滑らせて腰を抜かした。


幸いことに、
彼女にバレなかった事だけが救いだ。


地面に倒れた拍子に

ポケットに差していたマジカルペンが地面に落ちる。


慌てて手を伸ばすと、


なんと彼の真っ黒に染まった魔法石が


徐々に元の色に戻っていくではないかー!


(そんな馬鹿な…)


確かにブロットは、良く眠り、

十分な休息を取れば時間経過と共に消えていく。


だが、今朝まで濁り切った魔法石を

彼はしっかりと目にしている。


落ちたマジカルペンを握ると、

まるで映画の逆再生を早送りで見ているかのように


インクの滲んだ真っ黒な魔法石が

あっという間に元の輝きを取り戻した。



普段、多少の事では動じない彼でも

目の前に出来事が信じられなかった。


溜まったブロットを浄化する魔法など聞いたことがない。

もし、そんな物があれば

魔法士にとって一番避けなければない

オーバーブロットなど起こりうる筈がないのだ。


しかも、彼女は異世界の迷い子で、

魔法を使うことができないと聞いている。


これは一体どういうことだ?


思えばここ数ヶ月発生した四件のオーバーブロット事件。

その全ての現場に共通しているのは、

彼女の存在だった。


彼女のこの力と何か関係があるのか?


学園長も関与しているのか?


数々の考察と疑問が頭を埋めていく。


通常の生徒であれば、ここで怖気づいて
寮長なり学園長に相談の一つでもするだろうが、
彼は違った。


ジェイド・リーチは


イラついていた心情が嘘のように

晴れやかなで楽しい気分になった。


この楽しみを

自分一人の物として独占しようとさえ思った。


予定調和ほど、つまらない事はない。


前々から興味深かった彼女の、


ユウの秘密を暴けるし、


上手くいけば学園長の弱みも握れるかもしれない。


まずは、彼女を徹底的に観察し

その力がどういうものが突き止めよう。


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