第5章 No(契約なんて致しません!)
「お嬢ちゃんのお手伝いはわしらがするぞぉ~」
その時、ゴースト達がうっすら姿を現した。
「おじ様、いつもありがとう!」「じゃあ、きゃべつは千切りで、他の野菜は一口サイズに切ってほしいな」「あ、こっちの卵を溶く時は、泡立てちゃだめよ」と早口でまくしたて、突っ立ってるジャックとエペルの背中を押した。
「今日は頑張ってくれたみんなへのお礼だから、
座ってまっててくれると嬉しいなっ」
ユウにそう言われて仕方ない…。
向こうでエース達はテレビゲームをセットし始める。
あいつら…とジャックは人睨みした。
いつもの光景なのか「楽しみに待ってて!」と花のように、にぱっと笑って彼女は厨房に戻っていった。
心配でため息をついたジャックとエペルだったが、このあと参加した大乱闘ゲームでは我を忘れて楽しんだ。
◆
「スープ出来たんだゾッ!」
「最終チェックお願いシマス」とグリムがお玉をユウに渡した。ちなみにこのセリフはジャミル仕込みだ。
「うんっ!ベリーグッド!」
よしよしと喉の撫でてあげると
ゴロゴロ…とグルムが鳴いた。
メインのとんかつも、付けたパン粉少量を落として揚げ油で熱する。ジュワーっときつね色にお肉が染まった。
この「パン粉」を探すのも一苦労だった…。
ツイステワンダーランドの世界のパン粉は、ブレッドクラムという商品がメインで、使ってみると味がまるで違う。
なんとかサムさんにお願いしたところ"PANKO"ならあると言うことで、仕入てもらった。まさに日本のパン粉だった。ついでにお米(TWL産コシヒカリ品種)を一緒に購入した。
なんでも極東の国でなら、日本と近い調味料を扱っているみたい。…それから事あるごとに、サムさんに取り扱いをお願いした。
ツイステッドワンダーランドの極東の国。
いつかグリムと一緒に行ってみたいな……
元の世界にも帰らなきゃいけないと思う。
でも、帰るまではこの世界を心行くまで楽しもうと決めたのだ。なんだって、ココは魔法がある不思議な世界。
楽しまなきゃもったいない!
そう…ユウは人よりも好奇心旺盛で
並外れたポジティブな性格なのだ。
◆
クン…とこおばしい香りが鼻を掠め、パチパチと油が跳ねる音が食欲をそそる。ジャックのしっぽが無意識にブンブンと揺れた。