第15章 In the name of love(オクタの恋愛相談室)
「悪魔フロイドから俺達を救うために、神から派遣された天使セラピムよ!」
「ひゃだ!ナニコレ可愛い~!」
「あの大食漢が来る前に食っちまおうぜ」
「だな。…あれ?てか、副寮長いなくね?」
「ゲ、今気づいたの。遅すぎぃ」
「それにつきましては、フロイド。身内の連帯責任だ。今すぐジェイドを海の底から引きずり出してこい」
「だりぃーからヤだ。それに今行ったら、小エビの差し入れ食い散らかされそう」
「まったく。…いいですか皆さん。僕達の分は必ず残して下さい。契約違反された方は…お分かりですね。
…ほら、フロイド。行きますよ」
「…はぁーい」
力が強いアズールに掴まれては逃げることも叶わず、ズルズルと引きずられるようにフロイドもバックルームへ消えた。
◆
残ったのはアズール達と共に設立当初からいるナンヨウハギの人魚 ドギー・ハリスン(ネジが外れた天然)。
ミノカサゴの人魚 チャッキー・ビリー(フロイドとよく喧嘩する。すぐ毒吐く)。
イタチザメの人魚 ブルーギル・クレメイン(通称ギル。ジェイドと同じく胃袋ブラックホール。唯一の彼女持ち)だ。
「てか、副寮長どこ行ったん?」
「なんか『息できないー!』って叫んで、バックルームに消えたのだけ見た」
「あのジェイド・リーチが?!ついに天罰が下ったか」
「ただの魔法薬の飲み忘れ?」
「あー…あれかも。今日さ、ポムフィオーレの寮長とユウちゃんが一緒に食事しに来ただろ。それ以降急にポンコツになっちゃったんだよね、あの人」
「人魚が陸で溺れるって、そりゃ恋しかないだろ」
「ぷっ、ハハハ!!あのサイコパス野郎が恋…?!」
「アーハッハッハ!めちゃウける、ヒヒ、ゲホッ」
「俺、一回言ってみたかったんだよね。
『What color?(お前の血は何色だ?)』って!」
「ジェイド・リーチは世界で一番、愛という言葉が似合わない男だね」
「「「That's right…!(言えてる)」」」
某ゴーストプリンセスに毒草渡したサイコパス伝説を想い、三人はまた腹を捻じって笑った。
しかし、この会話は当たらずと雖も遠からずの話になる。
くわばら、くわばら。