第14章 Crimson apple(真っ赤な林檎はいかが?)
その時、ドボンッと先ほど聞こえた音と同じものが立て続けにラウンジ中に響く。
驚いてモストロ・ラウンジの水槽を見るユウとヴィル。飛び上がっておきたグリム。
ブクブクと泡が大量に生まれる中で、水面に飛び散った制服と共に、綺麗な人魚が深海へ泳いでる姿が目に映る。
「…ジェイド先輩?」
目に止まらなぬ速さで海底まで泳いでいった姿に、見ていた観客達は興味を失って食事に戻る。
背後では給仕をしていたアズールが「…あのッ馬鹿!」と顔を真っ赤にして怒り、ヴィルが「今からビックリ人魚ショーでも始めるわけ?」と苦言を呈した。
ユウだけは…
深海に消える翡翠を名残惜しそうに
見つめたままだった。