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【ツイステ】監督生はプリンセス(長編)

第4章 True friend(マブダチといつもの日常)



シトシトなんて可愛いもんじゃなく、それはザーザーとまるで嵐のように体を叩きつけるような雨粒だった。

ずぶ濡れになって水を吸った運動着が重い。寒い。

ぬかるんだ地面に

ランニングシューズが絡め取られ、

普段より余計に体力を消耗する。


ーもう、無理だ。

そう、直感にも似たような感覚が
考えるよりも先に頭に浮かぶ。


「あきらめるなッーーー!!!」


叩きつけるような暴雨の中で

少女の声はなぜか、まっすぐに僕の胸を刺した。




ー学園 外廊下



「デュースが表彰されるなんて、すごいね!」

「そう言われると、照れくさいな。

…ありがとう、ユウ」

いつものように、ユウとグリム、エース、デュースの1Aメンバーで次の授業への教室へと向かっていた。


その中でも話題となったのは、全国高校生陸上競技大会で1年生のデュースとジャックが入賞したことだった。


自分以外のやつ(特にデュース)が、ユウに褒められていることに面白くなさそうなエースはわざと携帯をいじる。


その下で「オレ様より目立つなんて生意気なんだゾ!」と、拗ねながら文句言うグリム。


そんな二人の態度は気に入らないが、それ以上に自分の力で入賞できた事実がデュースにとって今一番嬉しいことだった。

隣で自分のことのように、嬉しそうに喜んでくれるユウの顔を見ると、余計に胸がいっぱいになる。


野郎ばっかりの学園で、純粋で可憐な彼女の存在は(掃き溜めに咲いた一凛の花のようだ…)とデュースは思っている。



以前エースに同じことを言ったら
「なにその表現、ダサ」と笑われたのを思い出した。


母にも今回の入賞の件を伝えたら、
彼女と同じように喜んでくれるだろうか。


苦労をかけた母と、隣で微笑むユウが一緒に自分を祝ってくれるシーンをイメージしたら、途端にデュースの頭の中で「ゴーンゴーン」という教会の鐘の音と、鳥や花達が祝福の歌を歌い始めた。



ーードンッ



そんな幸せをぶち壊すように、突如肩に痛みが走る。


ぶつかった衝撃で相手を見ると、そこには同じく陸上部の先輩が肩をさすってこちらを見てきた。



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