第12章 Master(先生はジェイド先輩)
銅器で頭を殴られたような感覚。
これがいつぞや兄弟にした仕打ちへの仕返しか。
そもそもこんな弱った姿を彼女に見せたくなかった。
フロイド…後で覚えてなさい。
謎の眩暈を感じたジェイドは、ひと思いに劇薬とも言える苦さを口にほおる。
「ウッ…苦ィ…」
「はいお水です。ゆっくり飲んでくださいね」
数回咳き込むも、その後落ち着きを取り戻した。
これで一安心だろうとユウもホッと一息つく。
薬の作用からか、うつらうつらと瞳が揺れ始める。
約束どおり、彼女はジェイドの傍で眠るまで座って見守っていた。
(……ユウさん。
貴女がそばにいてくれて、よかった)
ゆらり揺れる故郷の海を思い出して、
ジェイドは瞼を閉じたのだった。