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【鬼滅の刃】屋烏之愛

第5章 素直 中編【※錆兎】





その頃錆兎は、一匹の鬼と対峙していた。




ー 壱ノ型・水面斬り


目の前に現れた鬼の頚を、軽々と放った錆兎の技が、一瞬で捕らえる。

錆兎は振り返ると、転がってきた鬼の頚を、苦々しい顔で踏みつけた。

「こんな雑魚鬼に、うちの隊員がそうそう殺られる訳がない。どこかに、もっと大きな獲物がいる。」

そう言って、辺りを見回した。

目的の鬼は、そして陽華は何処にいる。

錆兎の胸に焦燥感が走る。

そんなときだった。空の方で鴉の鳴く声が聞こえた。

「誉(ほまれ)っ!」

錆兎の鎹鴉の誉が、ゆっくりと錆兎の頭上を、旋回するように飛び回る。

「十二鬼月ヲ確認っ!!下弦ノ壱ー!!下弦ノ壱ー!!」

その報告に、錆兎が舌打ちした。

下弦の下の方だったら、陽華一人でもどうにかなったかもしれないが、しかし壱となると厄介だ。

錆兎の身体に、言いしれぬ不安が横切る。

「誉、陽華の居場所はわかるか?」

鴉達の伝達情報は早い、どこかで陽華の姿を見ている鴉がいるかもしれない。そう思い、錆兎が伺うと、誉はすぐに答えてくれた。

「ココカラ、西ノ方角ー!!」

錆兎は頷くと、刀に付いた血を振り払い、鞘に収め、西に向かって走り出した。



暫く進むと、道に血の跡を見つけ、錆兎は立ち止まった。触ってみると、まだ新しい。

「…陽華のか?」

錆兎の心臓が、痛いほど鼓動を打つ。その先を見ると、草むらにも血が付いてる場所がある。

「こっちか!」

錆兎は微かな血の跡を頼りに、森の中をまた走り出した。



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