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【鬼滅の刃】屋烏之愛

第4章 素直 前編【※錆兎】





数年前・最終選抜


鬼殺隊士を目指して修行に励んだ子供達が、篩に掛けられる最終選抜。多くの鬼が放たれた山の中で、ただ生き抜くだけの七日間。

錆兎達が選抜を受けたその年も、多くの子供達が参加していた。

その時から、もうすでに同年代の子供より秀でていた錆兎は、七日間の間、多くの鬼を斬り、多くの子供達を助けた。

それが他の人より、少しでも秀でた自分が、やらなければいけない使命と信じて。



最終選抜も終わりに近づいたある日、錆兎は、怪我して腕から血を流した子供が、鬼と対峙している場面に出会った。

いつも通りの行動だった。ただその子供を助ける為に、鬼を斬っただけ。

しかし、今までの子供だったら、喜び、錆兎に感謝してくるのが普通だったのに、その子供だけは違った。

「余計な事をするなっ!!」

思っていなかった言葉に錆兎は目を見開いて、その子を見た。その子は錆兎に詰め寄ると、ギラついた目で睨みつけた。

「お前なんかに助けられなくても、あんな鬼、自分で倒せた!」

「だけどお前、怪我してるじゃないか!」

「関係ない!……くっ、」

興奮したことにより、傷口に障ったのか、苦しそうに傷口を抑える子供に、錆兎は「大丈夫か?」と近づき、手を伸ばした。


バチンッ!


その手が大きく払い除けられた。その行動に、錆兎がイラついた。

「もう勝手にしろっ!」

そう言い捨て、背を向けて歩き出す。しかし、10メートル程行った所で戻ってきた。

そっと、その子供の前に、小さな包み紙を置く。

「これは俺の先生が作ってくれた傷薬だ。よく効くから、使ってくれ。……それと、邪魔して悪かった。」

そう言うと、錆兎はその場から、立ち去った。残された子は、錆兎が消えるまで、驚いた表情で、その背中を見つめていた。



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