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【鬼滅の刃】屋烏之愛

第4章 素直 前編【※錆兎】





「陽華、そっち行ったぞ!」

「了解、任せてっ!」

一緒に任務に来ていた同期、冨岡義勇の掛け声に、待ち構えていた陽華は、スッと構えの姿勢を取った。

次の瞬間、木々の間から鬼が現れ、陽華はシィィーっと、静かに呼吸を整える。


ー 雷の呼吸 壱ノ型……霹靂一閃



ドンッ!!



強く踏み切った足裏が、ド派手な音を鳴らし、陽華の身体は、雷のごとく一直線に鬼へと飛び出した。

ほぼ同時に抜刀した刀が、弧を描き、鬼の頚を薙ぎ払う。

鬼の数メートル先に着地した陽華が、チンッと音を立てて、刀を鞘に戻すと、すぐ背後に斬り離された鬼の頚がゴトッと音を立てて、転がった。

その頚を満足そうに見つめていると、すぐ背後から、もう一匹鬼が現れたことに、気づくのが一瞬遅れた。

瞬時に刀を構え直し、技に入る態勢を整える。そんな陽華の目の前を突然、黒い影が覆った。

「錆兎っ!?」

その影の正体に気づき、陽華が声を上げると、錆兎がチラリと陽華に視線を送った。

「ぼーっとするな、陽華!」

錆兎はそう言うと鬼に向かい、技を放つ。荒々しく水流を巻き上げ、錆兎の刀が、鬼の頚を断ち切った。

陽華の目の前に、その頚が転がる。

その頚を見て、陽華は顔を怒りに歪ませながら、錆兎に詰め寄った。

「錆兎、アンタね…、」

「鬼は一匹だけじゃないんだ。気を抜くな。」

錆兎はそう言い捨てると、次の鬼に向かい、走り出してしまった。その後ろ姿を、悔しさに顔を歪めながら、陽華は睨みつけた。





今回の任務は、この山に巣食う鬼どもの退治。十二鬼月がいるとの報告で、柱の中から、水柱の錆兎、それに近い階級を持った義勇と陽華が選ばれた。

鬼は他にもいて、陽華達は、手分けして鬼どもの殲滅に当たっていた。




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