【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】
第2章 #2 住・生・楽
なんて…?
私が…雄英?
「なに、言ってるんですか…?」
呼吸を整えて、校長に目を向けて、途切れ途切れの言葉を口にする。
私が…雄英?
どうして?
そんな私の思いを組んだのか、校長がコホン、と咳をして、指を立ててこういった。
「君を思っていっているんだよ。」
言ってることが分からない。
思ってる?私を?
校長は、私の目を見て言葉を続ける。
「君が雄英に入れば、身の安全は保証するよ。僕たちがついてるからね。」
身の安全…
その言葉を聞いて、ヴィランを思い出した。
寒気がする。
またあんなやつが…
「君はね、顔が知られてるんだ。ヴィランに囚われたことのある市民としてね。そんな君が、ゆっくりのんびりここで生きていくためには、どうしたらいいと思う?」
言葉が入ってこない。
私が…知られている…?
あの事件のせいで…?
「君が安全に、今を生きていくなら、この話は悪い話じゃないと思うよ。」
校長が、光の無い目で私を真っ直ぐ見てくる。
その横で、何も言わずに相澤の視線を感じる。
私がどう答えるのか、気にしているのだろうか。
そして校長は、もう一度聞いた。
先程の質問より、明確に。
「雄英に、入って、そして、キミも、ヒーローにならないかい?」
私が…ヒーロー…?
とりあえず、頭を整理したくて、開放された腕をつかって体を起こし、ゆっくり席についた。
何も言葉が出てこない。
何を言ってるの…。
思わず頭を抱えてしまった。
その動作が怪しいと思ったのか、無言で捕縛布に手をかける相澤。
それを無言で制する校長。
「…」
私は…どうしたらいいの…
夢…なんだよね…?
「答えは、キミがここに来る前から決まってるのさ。」
そんな校長の言葉で、ハッとした。
考えてもダメなんだ。
悩んでもダメなんだ。
今、この時間を生きていくためには…
帰るためには…
帰るため…
私は、真っ直ぐ校長をみて、答えた。
「わかりました。」