第3章 新しい生活
私が食べ終わると、イゾウ兄さんは私の後ろに回って、地肌あたりを拭いてくれる。
マッサージされてるみたいですごく気持ちがいい。
『…なんか、イゾウ兄さん慣れてるね。』
「そうか?…まぁ、昔弟の頭よく拭いてたからかもな、、、」
『へぇ、弟さん居たんだ。この船に居るの?』
「いや、俺の故郷にいる。
もう17年は会ってないな、、、」
『17年…私まだ生まれてないかも。』
「ククッ、そう思うと早いなぁ。」
『寂しくないの?』
「あぁ。俺にはここにも大勢の家族がいるからな。
それに、俺が居なくても周りに頼りになる仲間がいたから、アイツもきっと元気にやってるさ。」
『ふぅん、、、そっか。』
私にも弟とか居たのかな、妹もいいな、、、
ここには沢山優しい兄さん達がいるから年下って新鮮だな。
「どうだ?痒いとこないか?」
『うん!すっごく気持ちいい。』
「ククッそりゃよかった。」
「お、菜々美にイゾウか。横いいかよい?」
『うん!もちろん!!』
「あぁ。おつかれ、マルコ。」
「よい。」
そう言って遅めの夕飯を手に隣に掛けたのはマルコ兄さん。
やっぱり忙しいんだろうな、、、
「今日も書類仕事に追われたのか?」
「あー、、、いや、菜々美が手伝ってくれたからいつもよりは随分と早く終わったよい。
だから、ずっと読みたかった本を手に取って読んでたら止まらなくなっちまってねぃ、、、
気がついたらこんな時間だったんだよい。」
『あら、、、』
へらりと笑うマルコ兄さん。
でも、私があの計算しただけで自分の時間が取れたなら嬉しいな。
「明日島に着くからねぃ。楽しみにしてろよい。」
『うん!』
「よし、髪の毛乾いたぞ。明日に備えてもう寝ちまいな。」
『はーい!おやすみ、マルコ兄さん、イゾウ兄さん。』
「あぁ、おやすみ。」
「おやすみ。」
私は部屋に入ってベッドに雪崩れ込むと、ほんの数分で夢の中へ落ちていった。