第3章 新しい生活
一方その頃、、、
コンコンコン!
「オヤジ!俺だ!!」
「入れ」
「菜々美のことで来たんだろう?マルコ。」
「そうだよい。」
白ひげはナース達を下がらせ、マルコに近く寄るように促す。
2人だけになったのを確認した後、マルコは慎重に口を開いた。
「さっき、もう少し詳しく診察したんだ。
初めはペンとか食器とか服とかの使い方は分かってたから自分のことだけ忘れてるのかと思ったんだが、俺たちが海賊だと言えば、まるで海賊なんざ聞いたことがない、という程驚いてたんでねぃ。」
「…海賊の存在を知らねぇほど情報が遮断された場所に住んでいたか、あるいは、、、」
「海賊のことも記憶から消してしまったか、、、」
2人の間に重い沈黙が流れる。
「…それから、他のことについてどれほど覚えているのか確かめたんだよい。
注射器やメス、泡立て器に羽ペン、それから楽器とかは知ってたよい。使い方もわかってた。
だが、試しに電伝虫を使ってみろ、って言ったんだよい。そしたらアイツ、、、ックク、首傾げながら撫でてたよい。」
「グララララ!電伝虫を撫でるたァ傑作だ!!!」
「俺も思わず吹き出したよい。」
「それと、ログポースはブレスレット、ダイアルは綺麗な貝殻だと言ってたよい。」
「…海に出たことがないのかもなァ。」
「俺もそう思ったよい。
安全な島の中で育ったんじゃないかとな。
だから最後に、コレ、出してみたんだ。」
「…そりゃぁ」
マルコの手に握られていたのは一丁のピストル。
本物だ。
「そしたら、アイツ、酷く驚いて、なんでもの待ってるんだ、捕まるぞ。って言って叫んだんだよい。」
「捕まるだァ?
持ってるだけでか?」
「あぁ。確かにそう言ってたよい。」
「…いくら平和な島でも、銃の所持を禁止してる島は聞いたことねぇな。
この大海賊時代。どんな島だって自衛のために銃くらい持ってる筈だ。」
「…そうなんだよなァ。」
菜々美、一体お前は何者なんだよい。
マルコの頭はその思いに大きく占めていた。