第7章 魚人島
「…菜々美、」
『大丈夫。父さん、帰ろう?』
「あぁ」
私は連絡廊の下で待っているコーティング済みのモビーに向けて足を進めた。
「オヤジと菜々美が来たぞ!!!」
「グララララ、準備はできてるか。息子ども。」
「「「オォ!!」」
父さんの声に応えるように、みんなは声を上げる。
魚人島の正門を出る直前、ネプチューン王と王子達が見送りに来てくれていた。
「世話になったな、ネプチューン。」
「何、大したことはしておらんのじゃもん。
久々にお主と話せて儂も楽しかった。」
「グララララ!また生きて会えたら次は俺が酒を持ってきてやる。」
「それは楽しみじゃもん。
お主が死ぬなぞ想像もつかんからな。待っておる。」
「菜々美殿。」
『ぁ、フカボシ王子様。』
父さん達の会話を眺めていると、後ろからフカボシ王子様が話しかけてきた。
「妹と、、、しらほしと仲良くして下さって本当にありがとうございました。」
『いえ、私の方こそ、、とても楽しかったです。』
「…いつか必ずや我らが妹を解放します故、その折は地上でも会ってくださらないだろうか。」
『もちろんです!
是非遊びに来てください。いつまでもお待ちしております。』
私がそう言うと、父さんの声が響いた。
「野郎共!出港だァ!!!!!」
「「「ウォォォォォ!!!!!」」」
そして私たちは再び海底の暗闇に溶けていった。
その背後では煌びやかで美しい珊瑚広がる魚人島がいつまでも光を放って辺りを照らしていた。