第5章 新世界の航海
「マルコ。」
「あぁジョズ、菜々美の様子は、、、全然大丈夫じゃないな。」
「あぁ、瀕死だ。
お前が菜々美乗せて飛んだほうがコイツ楽なんじゃねぇのか?」
「それは別にいいが、、、逆に怖がらないかねぃ。」
船酔いの恐ろしいところは逃げ場がないところだ。
揺れがない場所なんて船にはない。
あー、、、本当やばい。
『兄さん…吐きそう、』
「…ほら。」
洗面器。
ジョズ兄さんに洗面器手渡されて、そのままマルコ兄さんに私ごとバトンタッチ。
いや、ここ海なんだから海に吐かせてよ。
自分が吐いたものを兄に見られるとかどれほどの羞恥か。
「菜々美、しっかり捕まっとけよい。」
難しいこと言われた。
洗面器片手にあんまり力の入らない片手でしっかり掴まれと。
グン
『は、』
???
すごい風圧に思わず目を閉じた。
風が収まって目を開けるとそこには小さく見える船と、信じられないくらいの数の渦巻きがある海。
へぇ。あの揺れはこの渦のせいか…
いや、
『は、え?、、、そら、?、え?』
飛んでる。
「大丈夫かよい。」
『は?』
マルコ兄さんの声がする。
いや待て、そもそも私は何に乗ってる。
鳥…青い鳥、、、ブルーバード???
『…鳥……青い…え?これ燃えてない??』
ここでひとつ豆知識。
実はよく見る赤い炎はあんまりあつくない。
なら青い炎はどうか。
答え、最高に熱い。
『…っぎゃー!燃える!死ぬ!!熱い!!!!』
「落ち着けよい!菜々美!熱くねぇ!
俺だ!俺!!!」
そう言って振り返った鳥。
その顔はどことなく「よい」が口癖のウチの長男に似てなくはないが、、、
「…絶対手ェ離すなよい。」
そう、言い残すと、鳥さんは翼と鉤爪だけを残して顔と胴体はマルコ兄さんに変身した。