第14章 第十夜、子ノ刻
キド「みんな…どこだ?」
俺が 目を閉じる能力から解放された時、周りにはだれもいなかった。
場所は…海ではなく 開けた空き地。
周りには山や中途半端に放置された工事現場、ひと気のない民家があるばかりで、海どころか潮風すら感じられない。
あまりの驚きに固まっていると、足元から声が聞こえた。
エネ「団長さーん!」
見ると エネがスマホの画面を内側からパシパシと叩き、必死にもがいている。
キド「エ、エネか」
ビクリと震えた肩をごまかすようにスマホを拾う。
エネ「も〜、ビックリしましたよ!!急に目の前が真っ暗になって、気づいたらこんな場所で!!なにが起こったのかさっぱり…」
わからない、と続けようとした言葉は、空き地に入ってきた複数の声にかき消された。
「ふざけんな、この糞がっ!!」
振り向くと、そこには 高校生だろうか、制服に身を包んだ男が、5人ほどで小さな犬をいじめていた。
「あーあーあー、かわいそうだよ、やめたら〜?」
5人のうち 1人がそう言うが、その顔はニヤニヤとにやけていて、この状況を楽しんでいるのが見え見えである。
エネ「団長さん•••」
キド「ああ。」
俺は 犬を助けようと、足を踏み出した。
だが……