第13章 第十夜
───あははハハハハははハハハははハハは!!
笑い声が 聞こえた。
いや、違う。
これは 嗤い声だ。
シロが嗤っている。
俺のことを 嗤ってる。
キド「 カイト!!」
そう、大声で叫んだのは ヒビヤの能力で見た場所に いち早く着いたキド。
切り立った崖
激しい波音
海から吹き付ける風は、髪どころか 体ごと遠くに吹き飛ばそうかとしているようだ。
少し離れたところにある、崩れかけた教会にはツタが這い、不気味としか言いようがない。
シン「 カイトは?!」
なんとか追いついたシンタローが、息も絶え絶えに問う。
「ここにはいないよ?」
耳元で 囁くように…声がした。
シン「うわああっ!!」
飛び上がるように そこから離れようとするシンタローから、自ら距離をとったのは シロ。
シロは この場に似つかわしくない、優しげな笑みを浮かべ、メカクシ団のメンバー全員を見渡した。
シロ「みんな遅かったのね…もっと早く来るかと思ったのになぁー。」
カノ「 カイトは… カイトにいちゃんはどこだ!」
低い、威嚇するような声で、カノが問う。
シロ「だ〜か〜ら〜、ここにはいないよって言ってるじゃない。」
少し いじけたように小さな唇を尖らすシロ。
セト「ここにはいないって•••それならどこにいるんすか?」
セトは今にも飛びかかりそうな雰囲気で、声を漏らす。
シロ「ふふっ…あははハハ!狂犬がこんなにいっぱいいるなんて、すごくこわいなあ!!」
蕩けるような笑顔を浮かべるシロは、ゆっくりと••••••
『目を閉じた』
「なんだ?!」
「目が…見えない?!!」
「こんな、嘘だろ…」
「キャアアアア!!た、たすけて!!!!」
「なにが、何が起こってるんだ?!」
一片の光のかけらすらない闇の中。
彼らが再び目を開いた時、そこにあるのは••••••