第9章 第七夜
「痛い」
その一語に 脳内を埋め尽くされる。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!
慌てて えぐられた右眼に手を当ててみた•••が、ケガをしている様子はない。
ただただ、右眼は 激しい痛みを訴えるばかりで、状況を把握するための役には立ってくれなかった。
震える足を抑え、蹲ることを必死に拒む。
シロを取り囲もうとするクロハたちを 手で制し、彼女に向かって 足を踏み出した。
はずだった。
『っ•••?!』
グラリと•••地面が揺れた。
あぁ、違う。
俺が 倒れてるんだ。
そう 気付いたときには、俺はもう 意識を手放していた。
最後に見たのは、極上の•••しかし 歪んだ笑みを浮かべるシロの姿だった。