第6章 第五夜
『ぅん•••?』
ふと目を覚ますと、窓から夕陽が差し込んでいた。
目をこすりながら ボーーーっとしていると、ドアが開いた。
カノ「あっ、起きたんだ•••おはよう!」
そう言って微笑む。
『•••おは•••よ?』
カノ「まだ 寝ぼけてるのかな?」
カノはクスクスと 笑って、俺が寝ているベッドに腰掛け、頭をすりよせてくる。
『カノ•••?』
カノ「なに?」
『顔•••近い。』
カノ「ん〜•••おはようのキスでもする?」
『しない•••』
カノ「そっか、じゃご飯食べに行く?」
『うん•••』
カノは ニコニコしながら立ち上がる。
部屋を出て、頭がちょっとスッキリした俺は カノの手をゆるく引っ張った。
カノ「•••どうかした?」
カノは さっきからずっと笑顔だ。
ずっとニコニコしている。
『カノ•••俺は欺けないから。』
カノ「えっ?」
『さっきから 変な顔してる•••悩みでもあるの?』
そう言っても、カノは 笑顔を貼り付けたまま 俺を見る。
カノ「別に なにもないよ?」
『••••••••••••••そっか。』
カノ「先に キドたちのとこに 行っててくれるかな?用事 思い出しちゃった。」
僕も すぐに行くから。そういうとカイトにいちゃんは、首を傾げながらも 従ってくれた。
カノ「言えるわけないよ。」
カイトにいちゃんのことが好きで 悩んでるなんて•••。
カノ「僕 男なんだけどなぁ。」
そう 呟いてみても、虚しさが増えるばかりで•••••。
カノ「•••••ご飯 食べよう。」
僕は 目をこすり、さっきと同じ笑顔を貼り付けて
リビングへと向かった。