第14章 第十夜、子ノ刻
俺は…夢でも見ているのだろうか。
目の前にいるカイトは、痛みに呻く少年たちを冷たく見下ろしている。
キド(こんなカイトにぃ…知らない)
クゥーン……
震える俺の腕の中で、仔犬が鳴いた。
『……その子、任せてもいい?』
フードを深く被ったまま、カイトが問う。
キド「あ…俺たち……いや、俺はここら辺に詳しくないんだ。病院の場所とかわからないから、知っているなら教えてくれると助かる」
震えを隠してそう言った俺に、カイトは 少し考えて、頷いた。
エネは携帯の画面から顔を覗かせるだけで、話そうとしない。
まぁ、ここで話し出しても面倒なだけだろうから、気を使ってくれたんだろう。
『………』
スタスタと空き地を出て行くカイトは道路脇の電話ボックスで救急車を呼び、電話をきった。
『…こっち、ついて来て』
エネ「団長さん…」
キド「行こう」
小声で話しかけてくるエネに、同じく小声でかえし、俺たちは 血に濡れたまま歩くカイトを追いかけた。