第14章 第十夜、子ノ刻
ボキッ…
背中に悪寒が走る。
鳥肌が立って、足が震えそうになる。
つい、エネが入ったスマホを落としそうになって、ハッと意識を戻した。
「ぎゃあぁああぁあぁあああ?!」
それとほぼ同時に響いたのは、カイトに腕を握られていたリーダーとおぼしき少年の悲鳴。
周りの少年数人がざわめき、カイトと距離を置く。
リーダーの少年が、大きく腕を振った。
カイトはそれを後ろに一歩下がってよける。
そして、見えたのは……不自然な方向に捻じ曲がった腕。
ボタボタと腕から落ちているのは、血ではないのだろうか。
あまりの衝撃に、せっかく戻った意識を また手放しそうになる。
腕にいる仔犬が しきりに鼻を鳴らし、頼りない目でこちらを見上げた。
「なにッ…なにしやがる!!」
少年は脂汗を浮かべ、折れた腕を抑えながらカイトを睨みつける。
カイトは、少し意外そうに眉をあげ、パチパチと手を鳴らした。
『へえーっ。すごいすごい、腕 折れてんのによく正気でいられるね、それともなに?痛いの好きなの?変態さんなの?』
あからさまにバカにした口調で嗤うカイト。
それが癇に障ったのか、リーダーの少年は、お前らやれッとヤケになったように叫んだ。
周りの少年四人は、リーダーの少年の盾になるように構える。
それに加え、ザカザカと音を立てて草むらから出てきたのは、八人ほどの集団。
しかし、カイトは顔色ひとつ変えることなく、微笑んだまま、動く。