第3章 Empty House
レンガ造りのレトロな家を見上げる。
トリエルが玄関から手招きしている。
PLAYERは家の中へ入った。
照明の眩さに、目を細める。
肌寒さを纏う不吉な空気は、
トリエルが、玄関の扉を閉めることで
遮られた。
室内の暖かさに、一息つく。
パチパチと、焚き火が弾ける音と
何かが焼ける、甘い匂いがする。
*いい匂いでしょう?
*サプラーイズ!
*バタースコッチ
シナモンパイを
焼いたの。
*あなたが 来てくれた
お祝いにね。
*ここで
楽しく 暮らして
貰いたくて……。
*だから 今夜は
カタツムリパイは
我慢するわ。
*さあ 入って入って!
他にも 見せたい
ものが あるの。
年代ものの絨毯を踏みながら、
大きく、そして丸みのある
トリエルの背中についていく。
蜂蜜を溶かし込んだ様な
甘ったるい蜜色の壁に
ドアを見つけた。
*ここが……。
*貴方の お部屋よ。
*気に入って貰えると
いいけれど……。
ドアを見つめる。
温かい毛皮に包まれた手のひらが
PLAYERの頭をやさしく撫でた。
*あら? 焦げ臭いわね……。
*大変!
*ゆっくりしていてね!