第14章 犬は吠えるもなき声は影にひそむ
「私が死なない保証は?」
「ある。」
即答だった。なぜそんなにも即答できるのか最初はわからなかった。サングラス越しに見える先生の眼差しは強く真っ直ぐ私を捉えている。
…あぁ、そうか。
「……わかるんだ、夏油のこと。」
「残念ながらね。あいつはそうそう術師は殺さないはずだよ。特に若い術師はね。」
昔連れ添った仲だから、相手のことは良く理解しているんだ。特に五条先生みたいに特殊な人は側にいた人のことを特別に思っている…と思う。
けど、それは向こうも同じはず。…つまり、私の能力と存在が知られていればこの行為も予測されているかもしれない。"拒否"される確率が高いというわけだ。
「…………いいわよ、やってあげる。」
「そっか、悪いね。」
それだけ言うと先生は黙り込んで私が呼出するのを待っていた。
別に同情心でやるわけじゃない。先生に3年間育てて貰った恩を返す、それだけ。入学して呪術をコントロールできるようになるまで面倒を見てくれた、私がピンチの時には手を貸してくれた。だから、そのお礼をするだけ。
ちょっと、痛いだけだから。
それくらいならしてあげる。
「呼出、夏油傑!!!!!!」