第2章 世の中と隔てるものはわたし之感じょう
「言質……取った。」
私の言葉と同時に、先程の口約束が目に見える文字として現れた。…奴の体に。
「…………ェ。」
「残念だけど、あなたはアイツよりも強くない。残念だけど約束通り命、貰うね。」
「ァ______。」
「拡張術式、我幻悉糜(がげんしつび)」
そして奴の体は爆ぜた。
約束事の具現化。所謂言質取りというやつだ。呪力を使い相手の体に約束を文字にして刻み込む。違約すると事前に約束した代償を取られる。相手も私も、約束をキャンセルすることはできない。完全後出しの最強の一手。…さすがに五条悟には劣るけれど。
「ありがとう、馬鹿でいてくれて。」
倒せたことの安堵感と疲労感で力尽きて座り込んでしまった。
早く外に出て補助監督と合流しなきゃ…。
とりあえず信号を………
「って、あれ。……なんでだろう?」
帷が解除された…。
それと同時に携帯に着信が入る。
補助監督かな?終わったこと察した?
…って、優秀すぎるでしょ。そんなエスパーみたいな超人ぶったことできるのは…
「あ、もしもしぃ?針?僕だよ、僕。君の大好きな五条先生だよ〜。」
相変わらず余裕のある話し方と声色。
ぶっちゃけ嫌な予感しかしなかった。