第2章 世の中と隔てるものはわたし之感じょう
「あ、もしもしぃ?針?僕だよ、僕。君の大好きな五条先生だよ〜。」
相変わらず余裕のある話し方と声色。
ぶっちゃけ嫌な予感しかしなかった。
「…………………………なんですか。」
「ちょっと野暮用があって今京都にいるんだけどさ、明日も朝から可愛い生徒たちの面倒を見なきゃいけないんだよね〜。で、帰るの怠いからそっちに呼び出してくれない?…あ、針東京いるよね?」
「はぁ!?そんな遠いところから呼び出すって馬鹿じゃないの!?そもそも特級相手で疲れてるのに…あと、私明日も仕事なんだけど!!」
相変わらずこいつってやつは…。
人の苦労だとか気持ちだとかそういうこと考えられないのかな。
てか私が学生だった頃よりも悪化しているような…
「もし呼び出してくれたら棘の学校生活スペシャルブロマイドセットあげちゃう。」
「わかった、今すぐ位置情報送りなさい。」
「扱いやすくて助かるよ〜。あ、ちなみに場所は京都の高専。今入り口の前にいるよ。じゃあよろしくね〜。」
……やられた。でも愛する弟の学校生活、気になる。写真欲しいじゃない。私から連絡してばっかりで棘ってば現場報告どころか返信すらしてくれないんだもん!
ってな感じで、何回も同じ手法で引っかかっている。棘ったら、私とは話さないくせに五条先生とは話しているのね。なんかムカつくわ。棘と話している先生が。
「はぁ…………………。」
いいように手玉に取られてる気がする。
でも仕方ない、先生の方が一枚上手だ。
私も歩けないし、呼び出したら家まで送ってもらおう。
「"呼出"、五条悟。」