第2章 世の中と隔てるものはわたし之感じょう
私が1級呪術師になったのは五条悟を呼び出せるからってだけじゃない。低級には効かない、ある程度知識を持った呪霊にしか使えない技があるからだ。
ベラベラ喋っている呪霊だから話は通じるはず。…よし。
私はボロボロの体をなんとか立ち上がらせて、壁に手を付けながら呪霊が徘徊する方向に向かって声を上げた。
「私は、ここよ。」
すると呪霊は即座に体の向きをこちらに変えてノロノロと歩き出した。
「おォ???随分とおとなしいじゃないかァ?降参ってかァ?」
完全に舐められているようだ。だが、この体の傷具合を見れば相手が舐めるのもよくわかる。片腕は負傷して動かせない。立っているのがやっとだ。だが、呪力はまだ残っている。
呼び掛けには応じた。…あとはどのくらい持っていけるかだ。
「……あなた、強いね。さすが特級って感じ?」
「あァ?オレ様は強いぞォ?特級ってなんだァ?いやなんでもいい早く殺させろォ?」
……殺意が強すぎる。けれど自身家。
もう少しおだてれば話に乗るかもしれない。
じりじりと近づく奴に臆してはいけない。
正念場だ。耐えろ、足を後ろに下げるなよ狗巻針…。
「それだけ強ければ呪術師最強のあの人も倒せるんじゃないかな。」
「最強ォ?最強はオレ様だぞォ?」
乗った!!…あともう少し、もう少しで取り付けることができる。
「じゃあ、その人より強いのね?」
「あァ!強い!」
…いける、確信を得た私は吹っ掛けた。
「それ本当?あなたの命、賭けられる?」
「あァ!賭けられる!オレの方が強いィ!」
思わず、笑みが溢れてしまった。
私の勝ちだ。
「"言質"………取った。」