第13章 黄いろの花はゆれる四のけものは塞がれたむすめのもとへ
そして現在10月31日に至る。
作戦が立てられた当初、私が悟を早急に呼び出す予定だったのだが、出張中で遠くにいる彼を呼び出すには呪力の消費量が多く、後の一般人を救出することに懸念があった為悟には自分で駆けつけて貰い、私は私服に着替え一般人に紛れ一足先に地下フロアで待機することとなった。
悪阻でやや重たい足取りの中、パニックに陥っていた人波を無理矢理かき分けながら進んだ。
そしてB4Fエリアの階段を降りようとしたその時、目の前に帳が降りていることが確認できた。
…一体なんの帳だろう。おそらく触れても害はないだろうと思い前に進んでみるが、私の体は弾かれてしまった。
弾かれた?術師を入れない帳…?
帳を降ろしているやつを探し出して倒した方がいいのかな…いや宛もなく探し回るのは得策じゃないな。それに、もうすぐで悟が到着する予定時刻になる。合流してから判断を任せた方が良いだろう。
私はスマホを何度も覗いては時間を確認する。そして20:30と表示されたと同時に私は小さな声で呟いた。
「"呼出"、……五条悟。」
「よかった、無事みたいだね。」
現れて早々、呼び出されることにすっかり慣れてしまった悟はまるで自分の意思で瞬間移動したかのようにふわりと着地した。
「私は無事だけど一般人は無事じゃないのよ。」
「…あぁ、そうだった。てかこの帳何?」
「たぶん術師を入れない帳だと思う…でも一般人だけを閉じ込めても正直特級呪霊達へのメリットを感じないというか…。」
「…。…さぁ、どうだろうね。この世の中には呪術師だけの世界にしたいなんて目論むやつもいるからさ。」
そう言うと悟は少し複雑な表情をして俯いた。