第11章 繋ぎの風は捕らわれ影はひそむ
「…白い。」
目覚めると視界には白い天井が目に映っていた。目覚めたばかりでぼーっと天井を眺めていると一人の女性が視界を遮る。
「目覚めた?とりあえず治せる部分は治したからあとは自然治癒だね。」
茶髪で目の下が隈だらけな彼女は、高専にいるならば誰でも知っている人物だった。
「しょうこ、さん……」
「どうする?五条に連絡する?高専にいるからすぐ来ると思うけど。」
……あれ、私硝子さんに悟と付き合ってること言ったっけ、?…まぁ悟と同僚の硝子さんなら話聞いててもおかしくないか。なんて考えながら交流会のことを思い出して、私は首を横に振った。
「…ダメ、せっかくの交流会だもん。……悟、最近忙しそうだったし、息抜きさせてあげなきゃ。……だからまだ言わないで、硝子さん。」
「はいよ。」
ため息混じりにフッと硝子さんは困ったように笑い私の頭を軽く撫でてゆっくり寝てな、と言うと布団をかけ直してくれた。
そして私はまだ一仕事あるから、と他の人の治療に向かい私は部屋に一人きりとなった。
チクリとまだ痛む肺。私は呪霊の言葉を思い出す。
"呼び出したものに魂の残留がある"
それって人にも適用されているのかしら。…もしそうなら私の魂と悟の魂が一時的に交わってるってこと?魂と魂が混ざり合うってどんな感じなんだろう。悟は気づいてたのかな。
…こんな大怪我したってバレたら怒られるかな。それとも悲しい気持ちにさせてしまうかな。泣いたりして。……いや、それはないか。交流会、無事に進んでるかな。棘は活躍できたかな。悠仁くんがいて伏黒くんたちビックリしたかな。ああ、なんだか眠たくなってきた。
しばらく前に意識がなくなったときとは違って今度は穏やかな気持ちで私は瞼を閉じた。