第10章 愛に及んで屋をつくり、鳥はなく
翌朝、カーテンから差し込む光によって目覚めた私。チュンチュンと鳥の囀りが聞こえる。どうやら朝になってしまったようだ。
ベッドから起き上がろうとすると体のだるさを感じた。しかしそれ以上に腰回りに巻きついている何かが重たくて体を起き上がらせることができない。
後ろを振り向くとすやすやと寝息を立てて心地良さそうに眠っている先生がいた。
私の腰に巻きついているその正体は先生の腕だ。
せめて時間を確認しようとサイドテーブルからスマホを取ろうと身を乗り出すがあと一歩のところで先生に体を引き寄せられてしまう。
「おはよ。」
眠そうな少し低い声が私の耳元に響いてくすぐったい。この声を聞けるのも恋人の特権なのだと思うと嬉しく思った。おはよう、と同じく私も返すと先生は私のお腹をさする。
「体大丈夫?」
「…ちょっと怠いかも…」
先程起きあがろうとしたとき独特な体のだるさがあったことを思い出す。もしかしたら先生の腕に捕まってなくても起き上がれなかったかも…。