第10章 愛に及んで屋をつくり、鳥はなく
「そうじゃなくてさぁ……なんで悠仁は悠仁、なのに僕は五条先生なわけ?」
そう言った先生はソファで横になっていた私の上に覆い被さる。今日はサングラスだから、下を向いたら取れてしまうので私の顔に落っこちる前に手際良くテーブルの上にサングラスを外して置いていた。
恋人同士とはいえまだ1〜2ヶ月しか経っていないので私は先生の顔が近づくたびにまだ少しドキドキする。
「ほら、言ってみてよ。さ・と・るって。」
そんな私を見て楽しんでいるのか、意地悪そうに私の唇に自分の親指を当てる先生。スーッと右から左へ唇をなぞる。
「……さ、さとる…………」
顔の中心から熱が広がっていき、自分が火照っていくのがわかった私は恥ずかしくて思わず先生の名前を呼びながら視線を逸らした。
「…ねえ、もう一回。」
今度は私の首に顔を埋める先生。声が耳元にかかり少しくすぐったい。先生の耳も私の口元にあるので自然と声が先ほどよりも小さくなる。
「…悟。」
「はぁ……たまんない。可愛い……。」
「……あっ、」
そして、首元に先生の唇が触れた。それから私の唇にキスをして、お互い味わうようにじっくりと啄むようなキスを何度も重ねた。
「んんっ…」
息をするタイミングがわからなくて、限界になった私が息を吸い込もうと口を開けたその時先生の舌が私の唇の間を縫って入ってきた。
脳みそが溶けそうだ。このまま先生と交わりたい。流されるまま私は先生の舌を指を、全てを受け入れた。