第2章 世の中と隔てるものはわたし之感じょう
段々と視線を落としてしまい、終いには過去の出来事を思い出した私は目に涙がじわじわと溜まり始めていた。泣いている自分がまた弱虫に思えて、それが嫌でもっと泣きそうになった。
私はどうしてこんなにも弱いんだろう。
そんなとき、負のループに陥ってしまい上に上げられなくなった私の頭に何かが優しく乗っかった。
5箇所先端に力が入っていて私の顔を覆えるような大きさで、なによりも温かいそれはすぐに手だとわかった。
「ま、そのうち強くなるよ。」
強くなる、その言葉が心に響いた。
今度はまた別の涙が込み上げてくる。温かく肌にまで沁みるような涙だった。
「強く、なれますか…?私でも…」
「なれる。なんたって僕がいるから。
…………ん?僕がいるから??ねえ、針。水を差すようで悪いんだけどさ、」
突然の空気の入れ替わりに思わず涙が引っ込んだ。この男は空気が読めないのかもしれない。自分の涙が蔑ろにされたようで小さな怒りが湧く。しかしそれも彼の一言で吹き飛んでしまったのだ。
「僕を呼び出せば針にとって最強の武器になるんじゃない?それも全世界最強だよ?強くなれるどころじゃないね。」
「…………は??????????」