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呪術廻戦_名前を呼ぶただそれだけで。

第2章 世の中と隔てるものはわたし之感じょう



______2013年4月。入学から2週間が経過。

「……で、針の呪術についてはなんとなくわかったんだけどそれでどうやっていつも呪いを祓ってるわけ?」

日差しがキツくなり始めた昼過ぎ。教室に差し込む光が暑くて私がカーテンを閉じようとしたそのときに、五条悟はまたも私の背後から話しかけてきた。但し今度は立ち話ではなく座りながら話し込むようだ。いい歳した大人が学生のように背もたれを背にせず、抱えて座っていた。

他の生徒は私よりもシンプルな戦闘スタイルで先輩との訓練のために、校庭へと出払っている。時折外から掛け声や叫び声が聞こえてきた。

さすがに同期に置いていかれている気がして、私も自分の力を向上するために話を聞こうと五条悟の正面に腰掛けた。普通の座り方で。

「普段は呪力がこもった道具を呼び出して使ってる。えっと…、物を管理する場所で。」

やけに歯切れの悪い…というよりも回りくどい言い方をする私に先生はクエスチョンマークを浮かべた。しかし口元に手を当てて数秒考え込むとすぐになるほど!と拳をもう片方の掌の上にぽんと置いた。

「"呪具"と"倉庫"ね。そうか、針の呪術は名詞に反応するのか。まあ動詞に作用するよりは話しやすいだろうけど……って、針?どうしたの、そんな怪訝な顔しちゃって。僕何か悪いことでも言った?」

動詞に反応する術師はいる。現にとても困っていた。意図せずに友達を傷つけてしまい、彼は心が傷ついていた。…………私の弟だ。

私はそんな弟が不憫で大好きだから少しでも何か与えることができればと高専にやってきた。だが私がこうして学んでいる間にも弟が苦しんでいるのだと考えたら胸が痛い。思わず言葉が籠る。

「………いや、おとう…違う、えっと後に生まれた子が………その、動詞に…」
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