第9章 千をこえた古はかれ不、磨かれる
「なっ、ななななんにもなかったけれど!?」
何かあった?と聞かれて思わず昨夜の出来事を思い出してしまう。恥ずかしくなった私は咄嗟に否定をするも、先生の言葉によってそれも無意味となる。
「あ、わかっちゃう〜?なんと僕たち晴れてカップルになりました〜!」
「やっぱり!な〜んか昨日と距離感微妙に違うと思ったんだよな。」
嬉しそうにピースを虎杖くんに向ける先生と納得したかのように拳を手のひらにポンと当てる虎杖くん。
…この子ってばどうしてこんなに勘がいいのかしら。それとも観察力が鋭いのか、いやでも呪力コントロールを取得するのが早かったし勘がいいんだろうな。
なんて呑気に考え事をしていたら私の右側に腰掛けた先生から顎を掴まれて無理やりそちらに向きを変えさせられる。
「そんなわけで僕のだから盗っちゃダメだよ悠仁?」
そして瞬く間に唇を奪われてしまった。
「…っ…!!?!!?!?!!?……このっ…後輩の前で何するのよ馬鹿!!!」
公衆の面前…というか後輩の前であまりにも大人気ない、そして恥ずかしい行動をした先生の顔に反射的に平手打ちを入れる。
パチン、と気持ちよく音がなって先生の白い肌に私の手形が赤く残った。
「………えっと、痴話喧嘩なら他所でお願いします……。」