第8章 槿の花びらはただ一つのみ朝をむかえる
「で、どうなの?僕のこと好きなの?」
嬉しそうに微笑む彼は白く長い指先て厭らしく私の唇をなぞった。
「えっ……す、好き…だけど………。」
先ほどからどんどんと押し迫る先生の胸板を軽く押し返しているが私が心の底から拒否をしていないから力が入っていないことから全く歯が立たない。
先生の私の顔をなぞる手つきと息遣いから今から何をするのか理解できてしまう。
……え?待って。
今から抱かれるの?私。
ど、どどどどうしよう。先生は私のこと好きって言ってくれたけどもちろん私も好きだけどでもまだ付き合うなんて一言も言ってないし!?
付き合う前にえっちしちゃうと都合のいい女になるとか相手が満足しちゃって冷めちゃうとかいろいろ聞いたことあるような…。
ということは私もしかして今抱かれたらこれっきりの女になっちゃうってこと!?!!?
……まぁ、元から呼び出されたり呼び出したり都合のいい女ではあったけど。
いやちょっと待って、都合のいい女なら好きと言うのは建前でまさか抱くのだけ目的とか!?
_____…と、ここまで3秒。
思考を重ねて針が弾き出した結論は
「だっ、」
「…?」
「ダメーーーーーーーーーーっ!!!!!!」
拒否だった。