第6章 棣をめでるならば鄂之さきまで情をかけるべし
「と〜げ〜!!!!!!」
その正体は狗巻棘の姉である狗巻針だった。五条悟に放置されすっかり拗ねてしまった彼女は最愛の弟を訪ねてきたのだ。
元から呪術高専に通っていたパンダ真希伏黒は彼女の姿を見て察した為、狗巻から距離を置いたのだった。
しかしそんなことを知る由もない釘崎は針の突進に巻き込まれてしまう…。
と思われたが何故か自分の側にいた狗巻先輩は忽然と姿を消し、気がつけば女性に抱きしめられて頬を擦り合わされていた。
「おかか…。」
「はぁ〜久しぶりね、あら?ちょっと背伸びたんじゃない?よかった、姉さんあなたがちゃんとすくすく育っているか心配で心配で…。」
饒舌な彼女に唖然としていた釘崎の隣には先ほどまで後ろにいた真希がいつの間にか立っていた。そして棘と棘を抱きしめる突然現れた女性を指差して言った。
「あれ、棘の姉。針だ。見ての通りブラコンだが呪術師としてはかなりやり手だ。」
巻き込まれ事故にあった釘崎はジャージについた葉っぱを払いながら真希に並ぶように立ち上がる。指差された彼女をしばらく観察しているととあることに気がつく。
「狗巻先輩のお姉さんってことはあの人も呪言師なんですか?そのわりにはペラペラ喋っているような…。」
「まぁ、呪言師にもいろいろいるんだろ。針みてえなタイプは珍しいらしいけどな。そういや、京都に針と似たような能力持ってるやついるしちょうどいいから稽古に付き合ってもらえ。」
そう言うと真希は狗巻姉弟の近くに寄り、ここでようやく彼女に話しかけたのだった。
「針、そろそろ棘のこと離してやれよ。可愛い弟が窒息死しちまうぞ。」